生物多様性保全や地球温暖化など、地球規模の環境問題への関心の高まりと共に、身近な自然をみつめ、大切にしようとする機運が高まっています。生きものを調べ、その保全に取り組む動きも世界中に広がっています。それぞれの地域にどのような生きものが、どこにどのくらい生育生息しているのか、という情報は、環境保全のために重要です。一方、温暖化をはじめとする環境の変化を、身近な生きもの調査を通じて知ることもできます。
そんな中、今、『市民参加の生きもの調査』が注目を集めています。
市民参加の生きもの調査は、どんな生きものが、どこにいるかという、地域の「生きもの情報」を集めるとともに、参加者の環境への理解を深める、一石二鳥の効果が期待されています。そのためには、区別がしやすく親しみの持てる生きものを対象とすることや、誰にでも取り組みやすく、得られたデータが生きもの情報としての信頼性も確保できる調査方法をとる必要があります。
そこで、「中央大学・東京大学・パルシステム東京協働プロジェクト」として、「市民参加による生き物モニタリング調査」(略称:いきモニ)を行っています。今回の取り組みでは、多くの人に親しまれ、身近な生きものでもある「チョウ」を対象とした調査を行っています。
チョウは、翅(はね)の模様にそれぞれ特徴があり名前を調べやすいこと、市街地でもそれなりの種類が生息していること、分布や生態、生息環境などがよく判っていること、環境の変化をよく反映するため確認された種類から生物多様性の変化や温暖化の影響などを知ることができること、などの点から、市民参加の調査対象として、ヨーロッパでも人気があります(http://www.butterfly-conservation.org/など)。
私たちのプロジェクトでは、チョウの基本的な調査項目に加え、新たな試みとして確認したチョウの写真を撮ることによって、生きもの情報としての信頼性を確保する試みを行います。市民参加による調査においては他には類をみない調査方法です。
調査員(パルシステム東京の組合員からの参加者)から送られるデータは東京大学で収集・データベース化し、チョウの専門家(中央大学)が個々のデータについてチェックを行い、精度の高いデータに修正されます。
本ウェブサイトは、そのデータを広くわかりやすく公開するとともに、監視活動をより効果的なものにするために生まれました。まず監視活動に必要な情報として、いつ、どこで、どんな状況で、どの種のチョウが確認されたのかを、一覧形式や地図形式などで閲覧できるようにしました。これによって、いつどの地域でどんなチョウがいたかが一目瞭然となりました。
中央大学では市民参加による生物多様性の調査や地球温暖化の影響モニタリング手法の研究・開発の取り組みを行っていますが、この調査で得られたデータは都市における生物多様性の現状や地球温暖化の影響を知る上でかけがえのないものとなることでしょう。
多くの市民参加者のご協力に感謝いたします。
「市民参加による生き物モニタリング調査」は「中央大学・東京大学・パルシステム東京協働プロジェクト」として行われています。
生活協同組合 パルシステム東京
- 「市民参加による生き物モニタリング調査」の運営とデータの収集
中央大学 理工学部 人間総合理工学科 保全生態学研究室(鷲谷研究室)
- 「市民参加による生き物モニタリング調査」の活動推進とデータチェック・データ整理
東京大学 生産技術研究所 ソシオグローバル情報工学研究センター 喜連川研究室
東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構
- データベースおよびウェブサイトの立案・構築・運用
また、このサイト「いきモニ」は、データ統合・解析システム (DIAS)の支援により運営されています。
本プロジェクトのIT基盤についてご興味のある自治体や団体の方は、メニューの「お問い合わせ」 を利用してご連絡下さい。